昨夜買って、それからずっと聞いています。
どうしてこんなに透明な声が出せるのだろう。
彼女は声の限り歌っている訳でもないし、情感に満ちみちた言葉を紡いでいる訳でもない。
ただ囁くように、語るように、唄の起源を思わせるような素朴さで歌う彼女の声は、まるで肌を優しく撫ぜるよう。
透明で伸びる声は、私の憧れなのです。
鳥の高い鳴き声のように、彼方に届く澄んだ声。
ビブラートのかかった深い歌声も素敵だと思うけれど、葉からこぼれ落ちそうな雫のような、沖縄の海のような、良く晴れた冬の朝のような透き通った声は、それよりもずっと私の芯の部分を惹き付けるのです。
皆が皆とても柔らかで少し哀しく、そして美しい曲なのだけれども、その中でも、『別の人』『旅人』『ナナカマド』が好きです。テルーの唄は、別格で。
原作を読んでいる身には、曲の向こうに、歌っている人、歌われている人が見えるのです。
未読の方には、映画を観た後、きっと彼らの姿が見えるようになるでしょう。
…ただ、ビジュアル的にいくらか不満があるためか、私には私だけの彼らが見えますが。
それもまた、味。割り切って楽しむことに致しましょう。