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まこと恐ろしきものは。
ゴドー検事がサイクに見えて仕方ありません。
恐ろしきゴーグル効果。

いい加減夏休みも終わりが見えてきましたので、借りてきた書籍を読んでしまおうと目論み始めた今日この頃。
共に読みかけだった『感染爆発』と『アントニーとクレオパトラ』を、昨日から今日にかけて読破致しました。

『感染爆発』。
主に鳥インフルエンザを題材にしており、パンデミックの恐ろしさ、そしてそのパンデミックの可能性を知りながらもなかなか動き出そうとしない政府に対し警鐘を鳴らしている一冊です。
前半部の、インフルエンザウイルスの脅威もさることながら、最も恐怖を覚えたのは、特定の医療機関の利益を優先させるが故に殆ど対策を取ろうとしない政府の状態に関する記述でした。

インフルエンザワクチンは、上げられる利益が少ない。
だから、民間企業は手を出したがらない。
けれど頼りの政府は、確実に訪れるであろうパンデミックに対応するためのワクチンを購入・開発する費用には甚だ少ない予算しか回さず、夢物語のようなバイオテロへの対策ばかりに没頭している。
何故なら、病気を治してしまっては、製薬会社は儲からないから。
つまり、政府が企業とグルになって、民間人の健康を犠牲にしながら金儲けに走っているのです。

私は、映画にしろ小説にしろ、金儲けに走ったが故非道な手段に出る悪役―例えばスーパーマンにおけるレックス・ルーサーだとか―が好きではありません。
余りにも単純に過ぎる理由に思え、その人物に深みが足りないと感じてしまうからです。
けれどこの記述を読んだ時、何故ジャンルを問わず様々な作品の中にそのような人物がしばしば登場するのか、よく分かりました。
現実には、金のためなら悪事に手を染めることすら厭わない人間が、溢れ過ぎている。
認めたくはないけれど、それが現実なのだと改めて思い知りました。
無知と無関心が、何より恐ろしいものだということも、また。

『アントニーとクレオパトラ』は、やはりシェークスピアだけあり、言葉運びの美しさが堪りません。
彼の描くストーリィは、正直言って好みではないのですが…(そう沢山数を読んだ訳でもないのですけれども)台詞回しの巧みさには嘆息せずにおれません。
今回気に入った台詞は沢山あるのですけれど…その中の一つに、

  いまの私は火と風、この五体を作る残りの土と水は
  卑しいこの世にくれてやる。
       [アントニーとクレオパトラ 小田島雄志=訳 から引用]

というクレオパトラの言葉があります。
この、火と風・土と水の対比。
ゲド戦記における竜と人の対比と同じものなんですよね。
クレオパトラは、火と風が聖なるもの(彼女の言葉の端々から死を神聖視している節が読み取れるので)、土と水を卑しいものとしている。
もしグウィン女史がこの言葉を踏まえていたとしたら、とても面白いなぁ、と。
…まぁ単に、西洋社会、ひいては欧州における昔からの価値観なのだと言われてしまえばそれまでなのですけれど。

明日はナルニアを読むかティファニーを観るか、考え中です。
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